長野県松本市の甲状腺・乳腺外来 丸山クリニック 【甲状腺疾患・乳腺疾患・各種検査・内科】

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院長のバセドウ病についての記事が 中小企業レポート に掲載されました。
(2009年11月26日)

■ あなたは大丈夫? バセドウ病のお話

女性歌手Aさんが記者会見で発表した病気の名前で注目を浴びたバセドウ病についてのお話です。
甲状腺は首の前方、のどぼとけよりやや下にあり、蝶が羽を広げたような形をした重さわずか10〜20グラム程度の小さな臓器です。健康診断などで首がはれていると言われ当院を受診される方すべてに甲状腺の腫大が認められる訳ではありません。例えば、皮下脂肪が多い方では首がはれたように見えますし、スポーツ選手などでは首の両側にあって耳の後ろから鎖骨に向かって走行する胸鎖乳突筋という筋肉が発達しているため一見甲状腺がはれたように見えてしまうことがあります。
甲状腺では海藻類、特に昆布などに含まれるヨードを材料にして甲状腺ホルモンを作ります。甲状腺ホルモンは成長や新陳代謝を維持するのに大切で、必要な量を適切に作って血液の中に分泌しています。しかしながら甲状腺はホルモンを作る工場ですからどのくらい作ればいいのか?という判断はできません。ここで登場するのが脳にある脳下垂体です。脳下垂体から甲状腺刺激ホルモンが分泌され血液にのって甲状腺にたどりつき、甲状腺を刺激して甲状腺ホルモンを分泌するよう命令します。同時に脳下垂体は甲状腺から分泌されるホルモンの量を常に監視しており、甲状腺ホルモンが少ないと速やかに甲状腺刺激ホルモンを分泌し甲状腺にホルモンをもっと作るように指示します。逆にバセドウ病などのように甲状腺ホルモンが過剰に分泌される状況では甲状腺にホルモンを作ってほしくないので甲状腺刺激ホルモンの分泌を抑えます。このように甲状腺は優秀な司令官(脳下垂体)のもとで仕事をしているのです。
バセドウ病で甲状腺ホルモンが必要以上に作られるのは何故でしょうか?バセドウ病の患者さんの血液検査結果を分析すると、甲状腺刺激ホルモンは低値、甲状腺ホルモンが著しく高値というパターンをとります。司令官である脳下垂体は甲状腺に対してホルモンを作るのを止めるよう指示しているのに、甲状腺はそれを無視してホルモンをつくり続ける状態です。実は、バセドウ病の患者さんの血液の中に甲状腺刺激ホルモンとは別の甲状腺を刺激する因子ができてしまうことが原因なのです。
バセドウ病の症状は動悸、手がふるえる、体重が減る、脈が速い、汗をかく、のどが渇く、食欲が増す、イライラする、目つきが鋭くなる、などの症状が出現します。子供の場合は、落ち着きがなくなり、集中力が低下するため、成績が悪くなる場合があります。さらに、トイレに座って立ち上がろうとしたら脚に力が入り難くなったり、あるいは周期性四肢麻痺といって、目覚めると体が動かない金縛りの様な症状を自覚される場合があります。バセドウ病を放置すると命にかかわることもありますので、注意が必要です。
バセドウ病は治療で治る病気ですので、自覚症状のある方は恐がらずに最寄りの甲状腺専門医を受診してください。
日本甲状腺学会認定専門医施設 丸山クリニック 院長 丸山 正幸


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